としサバ
 「今日来たのも、そんな予感がしたからよ。今日も道乃さんとやらは、ここに泊まったのでしょう。あんな折り畳みベッドに、二人で抱き合って寝て、友達で通ると思うの。ふざけないでよ。お母さんが可愛そう過ぎるわ」

 「深ちゃん、娘さんの言う通りやわ。幾ら、何もなかった言うても、世間はそれでは通らないわ。認めるしかないと思うけど」


 女将は腹をくくるしかない、と思っていた。

 信彦さえ奥さんと離婚をする気があるのなら、自分が後の面倒を見るつもりでいた。


 「二人の仲を認めるとして、お前はどうしたら一番いいと思うんだ」


 信彦が沙穂の顔を見ながら言った。



 「私は悔しいの・・・」



 そう言って、沙穂は泣き出した。



 
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