としサバ
 「だって・・・あの時、家族会議をして、お父さんに別居を許したのは、お父さんのしたい事をさして上げたいと思ったからよ。それに乗じて女を作るなんてひど過ぎるわ。飼い犬に手を噛まれたみたいなものよ」

 
 沙穂は凄い剣幕だ。


 「俺は飼い犬か」

 「そうじゃ、ないけど。余りにも身勝手過ぎよ。私は妻じゃないから、どうしろとは言えないわ。あくまで、お母さんが決める事よ。今から、お母さんにあった事は全部話すわ」

 「・・・」

 「どうするかは、おかあさんから連絡があると思うわ。ただ、私は、お父さんを絶対に許さない。お父さんなんか、最低よ。顔も見たくないわ」



 そう言って、沙穂は泣きながら、走って出て行ってしまった。

 信彦は呆然と、走って行く沙穂の後姿を見送っていた。





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