としサバ
 「どうするつもり」


 女将が険しい表情で言葉を投げ掛けた。


 「う~ん」

 「腹をくくったら」

 「どう腹をくくるのだ」

 「いっそ、奥さんと別れて、私と本当に結婚したら」


 「女将と結婚か。この年で」
 「年なんか、関係ないでしょう」

 「ん・・・」
 「どうしたの」

 「妻と話し合ってからじゃ駄目なのか」

 「駄目よ。今じゃなきゃ」
 「・・・」

 
 「優柔不断な人ね」


 返事を言いかねていると、女将はさっさと帰り始めた。
 信彦はぼんやりと、女将の後姿を眺めていた。

 妻が離婚を認めるかどうかわからないので、今の段階で女将に返事を答える事は出来なかった。


 ツキの無い将来が、またまた、信彦の前に待ち受けているようだった。






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