としサバ
 「ママは私がいなくなると、寂しくなるかな」

 「そりゃ、寂しくなるわよ。雫はどこかへ行きたいの」

 「うん、遠い所に行きたいなあって、思っているの」

 「遠い所って、どこよ」

 「花がいっぱい咲いていて、自然が美しい所よ」

 「それなら、ママだって行きたいわよ」

 「ママはお留守番よ。だって、パパやお兄ちゃんが困るでしょう。私、ママには、とても感謝しているわ。ありがとう」

 「どう致しまして」



 「今度、生まれるとしても、やっぱりママの子がいいな」

 

 「可笑しな子ね。突然、変な事を言い出すのだから」

 「ママ、じゃがいもは4つに切るのだったよね」

 「あら、じゃがいもの皮、きれいにむけたわね。そうよ。4つに切ればいいのよ。手を切らないように注意してね」

 「はーい」


 雫は何も無かったような顔をして、じゃがいもを4つに切り出した。

 「ママ、次は何をしたらいいかな」

 「じゃ、卵を4個割って、良くかき混ぜてくれる」

 「はーい。お母さん、手伝う事があったら何でも言ってよ」

 「助かるわ。いつもこうだといいのだけど。雫は気まぐれだからね」


 緑は常々、雫が変わった事を言う癖があったので、先ほどの言葉もそれほど気に留めなかった。













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