としサバ
 「私ね。職員会議の決定には、納得がいかないよ。吉岡君は、どう」

 「僕も同じ」

 「でしょう。それでも、今まで我慢をしていたのよ。でも、あれ以来、切れちゃった」


 雫が海を見ながら呟いた。

 「あれって」

 保が雫に尋ねた。


 「男子生徒4人組が、吉岡君の頭の毛をめちゃめちゃに切った事よ。その上によ。私が先生に言いつけると言ったら、あそこの毛をツルツルにしてやるなんて。馬鹿にし過ぎよ。私その時に絶対許せないと思ったわけ。それで、決心がついたよ」


 「今野さんは僕のために死ぬの。それだったら、僕は気にしていないから、思い直して。僕の一生のお願いだから」


 保は両手を合わせ、必死になって雫に思い直すよう頼んでいる。


 保の目が、またウルウルし出した。





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