としサバ
 「そうじゃないの。私が問題にしているのは、先生から注意を受けた後に、あんな恥さらずな事が行われたという事よ。つまり、あの処分は甘過ぎたと思うの。もしもよ、あの時に停学とかの処分が出ていれば、あんな事出来ない訳でしょう。だから、私が命を掛けて抗議しようと思った訳よ」


 「理由がどうあれ、死んじゃいやだ。今野さんが死ぬなら、僕だって死ぬよ」


 「吉岡君は死ぬのは駄目よ。だって、吉岡君にはいろいろしてもらわなくては、いけないから」

 「そんな事知らないよ。僕は今野さんが死ぬなら、僕も絶対に死んでやるから」


 「分かった。分かったよ。死ななければ、いいのでしょう」


 「本当に」

 「本当よ。死なないようにやれば、いいのでしょう」


 雫は小学校の屋上から飛び降りるつもりでいたが、保の言葉で、もっと低い場所から飛び降りようと思った。




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