としサバ
33話 思案
 果穂は、娘の沙穂との会話を反芻しながら、ひとりで思案をしていた。



 (夫は女将との関係を、男と女の仲ではなく、友達みたいな仲だと言っていた。

 果たして、異性という感情が無く、同性のように、ただ友達として付き合えるものだろうか。


 中学生や高校生の頃なら、そんな仲も、もしかしたらあり得るかもわからない。しかし、飲み屋の30代の女将と、60歳の男が、一泊もしておいて、友達として付き合えるものだろうか。


 有り得ない。


 ということは、二人の間に感情、つまり恋心があるのだろうか。きっと、有るに違いない。それは、正に裏切りではないか。


 肉体だけの裏切りより、心の裏切りの方が、より罪が重いのではないか。


 そうだ。その通りだ。




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