としサバ
 では、これからの生活についてはどうだろうか。


 この家を慰謝料としてもらい、退職金と家庭のお金を悪くても折半にする。


 あとは二分の一の年金に、少しパートでもすれば、やって行けるのではないか。


 子供たちが自分の味方につけば、これより、条件は悪くなる事はない。


 この年で人生のやり直し。それも楽しからずや。
 ひとりで生きてみるのも悪くはないか。


 子供もいる事だし。寂しい事も無しか。


 それでは、清水の舞台から飛び降りてみますか)



 果穂は、やっと、心が決まった。
 心が決まると、果穂は酒が飲みたくなった。


 ウイスキーをグラスに注ぎ、水と氷を入れる。


 「ああ、おいしい」


 今日の水割りは格別おいしい、と果穂は思った。



 
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