としサバ
 果穂は夜遅く沙穂に電話をした。

 
 「もしもし、私よ。夜遅くにご免ね。今までひとりで考えて、やっと決心が付いたので、あなたに電話したのよ」

 「お母さん、どうするの」
 「離婚をする事に決めたわ」


 「やっぱり。私だって、そうしたと思うわ。良く決心をしたわね。お父さんって、夫としても、父親としても、今まではいい線を行っていたじゃない。だから、どうするのか、気にしていたの。私はお母さんの考えを支持するわよ」


 「ありがとう。心配を掛けてご免ね。沙穂には感謝しているわよ」

 「私はいつだってお母さんの味方よ。私の出来る事なら何でも協力するから言ってね」

 「その時は、お願いね」

 「万が一、離婚話でもめたら、黙ってないで言ってよ。私、お母さんの思い通りに、お父さんを説得するからね」

 「ありがとう。頼りにしているからね」

 「兄貴には、どうするの」
 「勿論、言うつもりよ」

 「お父さんには」
 「近い内に言うつもりだけど」

 「うまくいけばいいのにね」
 「祈っていてね」

 「じゃ、頑張ってね。お休み」
 「お休み」


 果穂は電話を終えると、寝室に向かった。


 ふとんの中に入ったが、果穂は目が冴えてなかなか眠りに就く事は出来なかった。





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