としサバ
 「あなたは今まで、良き夫であったし、良き父親だったわ。だから、私はもちろん、勝彦や沙穂だって、あなたを信頼していたし、尊敬もしていたのよ。なぜ、こんな結果になってしまったのか、私には残念で仕方がないわ」



 「お前には済まないと思っているよ」


 「あなたもやっと以前のあなたに戻ったみたいね。それで、今後の事だけど、あなたはどう考えているの」


 「どうって」


 「離婚するに当たって、あなたは私の事をどう考えているかって事よ。言い換えれば、慰謝料はどう考えているのかって事かな。もし、離婚話がもめるようであれば、沙穂が黙ってないと言っていたわ」


 「お前はどうして欲しいのだ」


 「じゃ、言わせてもらうわ。まず、慰謝料として、この家は私がもらうわ。当然の権利として、家庭のお金と退職金の半分は私のものよ。年金は、半分ずつと言う事でどうかしら」


 果穂がきつい表情で呟いた。



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