としサバ
 「すいません。701号室の知り合いの者ですが、どこに行ったかご存知ないですか」

 「701号室の吉井さんですか。確か、しばらく実家に帰ると言って出て行かれましたよ」

 管理人が言った。

 
 「いつ帰るか言ってなかったですか」
 「聞いてないですね」

 「実家はどこかわかりませんか」
 「そこまでは・・・」

 「ありがとうございます」


 マンションを出ると、雨が降っていた。


 「雨か」


 信彦は福島駅に向かって歩いて行った。
 途中で、雨が激しくなった。

 5分ほど歩いて駅に着いた頃には、頭の毛が洗ったように濡れていた。


 信彦は少し寒気を感じていた。




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