としサバ
 自宅に着いた頃には、寒気がひどくなっていた。


 頭の毛をバスタオルで拭き、パジャマに着替え、ベッドを整えると、信彦は大急ぎでふとんの中に潜り込んだ。


 「ガチガチガチ・・・」


 震えで、上下の歯が自然と音を立てた。


 「罰が当たったか」


 信彦は足を折り曲げ海老となって、必死に寒さをこらえていた。

 眠ろうと思っても、寒くて眠りに就く事が出来なかった。

 信彦は重い体を引きずり、エアコンの暖房のスイッチを入れた。
 漸く眠りに就く事が出来た。


 信彦はあくる日の午後2時頃、チャイムの音で気が付いた。


 ピンポン、ピンポン。


 信彦は玄関まで、出て行く元気が無かった。

 そのままでじっとしていると、榎本がヌッと立っていた。




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