としサバ
 榎本はしばらくすると、買い物から帰って来た。


 「財布はここに置いておくぞ。牛乳と野菜ジュースは冷蔵庫に入れておくからな」

 牛乳は頼んでいなかったので、榎本が気を利かせて買って来たのだろう。

 「済まん」

 「それから、握り飯と水を置いておくから、無理にでも食べて、薬を飲んでおけ。そうしないと、治らないぞ」

 「わかった。そうするよ」

 「じゃ、俺はこれで帰るから。何かあったら、電話をしろ。すぐに、来てやるから」

 「助かったよ」
 「じゃ、気を付けてな」


 そう言って、榎本は帰って行った。


 信彦は無理やり握り飯を一個食べると、風邪薬を水で流し込んだ。そして、また深い眠りに就いた。









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