としサバ
 保は昼休み、体育用具室の中にいた。

 中には、跳び箱やマットやサッカーのボールなど、いろんな体育用具が所狭しと置かれていた。


 保はそのひとつを人差し指で触ってみた。

 「あっ、汚ねえ」

 保は思わず指の汚れをズボンで拭き取った。

 「バレーのネットはどうかな」


 「幅が少し狭いか。2枚並べるとどうだ。もし、今野さんが間に落ちたら、死んじゃうかも。駄目だ。駄目だ。絶対に駄目だ。今野さんが死ねば、僕は生きてはいられないじゃないか。これは、死んでも外そう」


 「テントはどうだ。今野さんは体重が40キロ位だから、もしかして、上から落ちてくれば破れて死ぬかも。これも駄目だ」


 「無いよ。今野さんの命を助けられるようなモノは見つからない。どうしょう」


 保は置かれているものを掻き分け、掻き分け、必死になって探していた。

 奥の方まで探していると、網のようなものが、手に引っ掛かった。


 「何だ。これは・・・」



 「網みたいだ!」



 網のようなものの端を引っ張りながら、保が歓声を上げた。





< 235 / 285 >

この作品をシェア

pagetop