としサバ
 信彦はトイレに行きたくなり、目が覚めた。
 時計を見ると、午後1時5分を指していた。


 「榎本が来てくれたのは、昨日の2時頃だから、あれからおよそ一日経っているのか」

 頭に手をやると、少しだけ熱がありそうな温かさだった。

 「でも、随分と楽になった。薬が効いたみたいだ」

 あれから、信彦は2度ほど薬を飲んでいた。

 トイレと薬を飲む以外は、ずっと寝ていた甲斐があったと、信彦は思った。

 トイレで用を済ませてから、洗面台の上の鏡に信彦は自分を映してみた。


 「髭面だな」


 頬を手で撫でてみると、不精髭でザラザラとしていた。

 信彦は髭が濃い方で、一日剃るのを不精すると、髭が生えてみっとも無かった。


 信彦はパンを焼かずにそのままむしゃむしゃと食べ、水で薬を流し込んだ。

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