としサバ
 その時、電話が鳴った。


 ピーイイ、ピーイイ、ピーイイ。


 「はい、深見です」
 「俺だ。榎本だ。調子はどうだ」

 「お陰で、随分と楽になったよ」
 「そりゃ、良かった。もし、まだ悪いようだと、今から行ってやろうと、思っていたのだ。
それなら、行かなくていいな」


 「ああ、来なくていい。本当にお前には世話になったな。ありがとう」

 「奥さんには、知らせたのか」
 「それが、先日、離婚をしたばかりなんだ」

 「離婚をしたのか。お前も大変だな。と言う事は、昨日、俺が行かなかったら、大変な事になっていたかもわからないな」

 「お前は、命の恩人だよ」
 「そらあ、少しオーバーだけど」

 「元気になったら、何かおごるよ」
 「期待しているよ。何か、あったら電話しろよ。それじゃ、気を付けてな」

 「ありがとう」


 信彦は電話を終えると、またベッドへ行き、ふとんの中に潜り込んだ。

 ふとんに顔を埋めてしばらくしてから、信彦は寝息を立てて、眠りに就いた。





 
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