としサバ
 「ファッションはこれで良し。あっ、そうそう、スカートの中にショートパンツを忘れないではかなくちゃ」


 雫は、次に遺書2通と携帯をカバンの中に入れた。


 「遺書と携帯も中に入れたっと」


 雫は風呂場に行き、中にある鏡に自分を映した。

 左に動き、右に向く。


 両親指と両人差し指で小さく、両腕で大きくテレビの画面を作って見て、雫は自分を確かめた。

 「まあ、いいか」

 雫はカバンを持って台所に行った。


 「おはよう。ママ、この服装だとテレビ映りいいかな」

 「おはよう、雫。テレビにでも出るの」

 「もしも、出たらの話よ」
 「はいはい。いいじゃないの。赤いベストがきいていると思うよ」


 おかしい事を言う雫のいつもの癖が出たな、と思いながら母親の緑は、雫に調子を合わせて喋っていた。

 「私もそう思うの。ママ、ありがとう」
 「どういたしまして」


 雫は朝食を食べ、何も無かったような顔をして、学校に出掛けるために家を出た。


 「いってきまーす」


 (もしもの事があれば、自然の美しい所に行くかもわからない。そうなれば、自宅には、もう帰れないかも)


 雫の頭の片隅には、そんな思いがよぎっていた。





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