としサバ
 学校には、いつもと変わらない退屈な時間が流れていた。


 (あと、何時間かすれば、全く違った時間が流れ出すのよ。その時間を演出するのは、自分よ)


 (果たして、命を懸けてまでする必要がある事なの。骨でも折れば、後悔するよ)


 (今なら、まだ間に合うよ。引返したほうが、いいのじゃない。いっその事、やめちゃえば)


 雫は運動場を見ながら、退屈な時間に身を委ね、自分に質問を投げかけていた。そして、雫は目を閉じて、何度も首を振っていた。


 昼休み時間中、雫は保の所に行った。


 「放課後は、よろしくね」


 「うん」


 一言だけ言うと、雫は立ち去った。
 これが、雫の決行ののろしだった。




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