としサバ
 保は雫の後ろ姿を見送りながら

 「死んじゃ駄目だよ」

 何度も心の中で叫んでいた。



 授業がすべて終わった。

 15分ほど自分の席で、雫はじっと座っていた。


 いよいよ運命の時が来た。

 雫は保を見た。

 保は雫と目が合うと、大急ぎで片付けを終え、カバンを持って教室の外へ、一目散に駆け出して行った。


 「大好きよ」


 雫は心の中で呟いた。


 カバンの中に遺書2通と携帯が入っているか、雫は念の為にもう一度確認をした。そして、カバンを持って立ち上がると、右側の窓の所まで歩いて行った。




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