としサバ
 テレビの画面は、雫の行動を生中継でお茶の間に届けていた。


 雫は庇の中央に立って、数多くあるテレビカメラの中で、真ん中にあるテレビカメラに目の焦点を合わせた。


 「そろそろ時間のようね。美人にに撮ってよ」


 雫は小さく独り言を呟いた。そして、下を見た。


 網は自分を待ち受けている。

 雫はテレビカメラに向かって、大声で叫んだ。



 「私は死神なんかじゃない。女狐よ。メッキーよ」



 そう言うと、雫は網を目掛けて庇から飛び降りた。








 「ヒュッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン」








 テレビカメラは雫が飛び降りる瞬間から、網に飲み込まれるまでを生中継で映し出していた。




 
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