としサバ
 「私は死神なんかじゃない。女狐よ。メッキーよ」





 「ヒュッーーーーーーーーーーーーーーーーーーン」




 「ウウーン」


 母親の緑がテレビを見て、唸り声とも溜息とも付かない声を上げた。


 「ワオー、すごいね。私も良くやるわね」
 「良く命が助かったものよ」

 「スカートのめくれ具合は、どうだった」
 「どうでもいいのよ。命さえ助かれば」

 「まあ、あんなものね。もっと、見苦しいかなと思っていたけど。かえって、セクシーな位よね」

 「あれだけの事をしておいて、良くそんな事が言えたものね。もう、二度とあんな事はやめて頂戴ね」

 「わかった。わかった。もう、しないわよ」


 テレビは、次に3人のコメンテイターが女子生徒、飛び下り事件についての、自分の意見を論じ合う場面に変わった。


 様々な意見が述べられたが、大筋は、女子生徒をここまで追い詰めた学校側の対応のまずさを批判するものだった。




 
< 266 / 285 >

この作品をシェア

pagetop