としサバ
 「砂浜小学校の下山です」

 校長先生がインターフォンに向かって語った。

 「お入り下さい。いま開けますので」

 母親の緑がインターフォンに出た。

 雫はテレビを消した。
 それからすぐに、玄関でチャイムが鳴った。


 「下山です」
 「どうぞお入り下さい」

 緑が玄関で二人を出迎えた。


 「この度は、ご心労をお掛けいたし、誠に申し訳ございません。心より深くお詫び申し上げます」

 玄関に入るなり、二人が深々と頭を下げた。

 「まあ、玄関では何ですから、お入り下さい」
 「それでは、失礼致します」

 雫は応接用のソファーに腰を掛けていた。


 校長先生と教頭先生は雫の前まで歩いて来ると、そこで静止し、正座をすると、雫に向かっていきなり土下座をした。


 「許して下さい・・・」


 校長先生は、一言、言葉を発すると、次の言葉を発する事が出来ず、ただ奥歯をしっかりと噛み締めていた。





 
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