としサバ
 「体は大丈夫?」


 全く予期せぬ言葉が返って来た。


 「うん、大丈夫よ」
 「うちね。校長先生の話を聞いて考えたんよ」

 「校長先生はどんな事を言ってたの」


 「逆の立場で考えるように言ってはった。それで、もしうちが雫で、雫がうちやったら、どんなやったんやろと・・・」

 そう言って、葵は言葉を詰まらせた。


 「ううう・・・。そう考えたら、たまらんようになってん。もし、うちが雫からの嫌がらせで、耐えられへんようになって、4階の庇の上に立ってたとしたら・・・うっうっ」


 葵はそう言うと、涙をポトポトと落とし出した。


 「うっ、うっ、うっ・・・」
 「・・・」


 
 「かんにんな。うちが悪いかったんや。許してん・・・」



 そう言って葵は、頭を下げた。





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