としサバ
 「かんにんな。かんにんな。許してな」


 ポトン、ポトン、ポトン。


 ポトン、ポトン、ポトン・・・。


 下を向きながら、葵は泣いていた。

 激しく激しく泣いていた。


 葵は心の底から涙を流していた。

 雫は嬉しかった。

 どんな慰めの言葉よりも、どんないたわりの言葉よりも、

 「かんにんな」
の方が、
 「許してん」
の方が、ずっと、ずっと、ずっと、雫は嬉しかった。


 「雫、許してくれる」
 「もちろんよ!!」


 雫は言葉に心を込めた。




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