としサバ
「次長、お元気で」
「大変お世話になりました。これからも頑張って下さい」
「次長の事は忘れません。ありがとうございました」
宣伝部の全員から似たような贈る言葉の嵐。
女子社員から花束の贈呈。
ドアの両側に社員が並び、拍手の花道を渡り終えれば、チョンチョンと幕が閉じる。
三度笠を斜めに被ったやくざ者のように、信彦はトントントンと足早に花道を渡るつもりでいた。
花道の半ばころに差し掛かった時、娘さん、いや女子社員の香田沙紀が突然飛び出して来た。
「次長・・・」
言葉にならない。
涙がポロポロ落ち、沙紀はただただしゃくり上げて大泣きしている。
「う、う・・・。寂しいよ。次長がいなくなるなんて、寂しいよ」
花道に並ぶ男子社員たちが、何が起こったのか、わからないような顔をして、二人をじっと見詰めている。
「入社した頃から・・・失敗ばかりしている私を・・・う、う、う、次長はいつも優しく見守って・・・ういっ、ういっ、くれました。わあわあわあ・・・」
泣いてばかりで、何を言っているか、はっきりわからない。
「大変お世話になりました。これからも頑張って下さい」
「次長の事は忘れません。ありがとうございました」
宣伝部の全員から似たような贈る言葉の嵐。
女子社員から花束の贈呈。
ドアの両側に社員が並び、拍手の花道を渡り終えれば、チョンチョンと幕が閉じる。
三度笠を斜めに被ったやくざ者のように、信彦はトントントンと足早に花道を渡るつもりでいた。
花道の半ばころに差し掛かった時、娘さん、いや女子社員の香田沙紀が突然飛び出して来た。
「次長・・・」
言葉にならない。
涙がポロポロ落ち、沙紀はただただしゃくり上げて大泣きしている。
「う、う・・・。寂しいよ。次長がいなくなるなんて、寂しいよ」
花道に並ぶ男子社員たちが、何が起こったのか、わからないような顔をして、二人をじっと見詰めている。
「入社した頃から・・・失敗ばかりしている私を・・・う、う、う、次長はいつも優しく見守って・・・ういっ、ういっ、くれました。わあわあわあ・・・」
泣いてばかりで、何を言っているか、はっきりわからない。