としサバ
 女狐と同じ位の歳にしたいという誘惑に駆られたが、信彦はそれを何とか抑えた。


 「30歳と25歳か」

 「お似合いだね」


 「腹切りマン。呼び難いわね」
 「キリマンと呼ぶ事にするわね」


 「どうぞ どうぞ」
 「僕たちお似合いかな」
 「全然そうは思わないけど」


 「年頃の二人が チャットで出逢うのよ」
 「偶然の偶然。運命的。奇跡的。超素敵」
 「私 感動でおしっこ漏らしそうよ」


 どうにも止まらない。
 調子に乗ると演技がさらに臭くなるのが、雫の癖である。


 日頃の不満が、こんな形で噴火。
 キーを叩くほどに不満が溶岩となって、ドロドロと吐き出されるのだ。








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