としサバ
果穂の生活の事はある程度考えていたが、内面の感情までは、信彦には考えが及ばなかった。
「あなたは自分の事しか考えていないのよ。妻の面子や、妻のプライドを考えた事はあるの」
「済まない」
「謝ればいいの。あなたは、現実から逃げているだけよ。確かに、60歳になってからの就職探しは、キツイと思うわ。でも、私、決して高望みはしないわよ」
「わかっているよ」
「もう一度、考え直してみて。私、勝彦や沙穂の考えも知りたいし。今度は子供たちを交えて4人で話し合いましょうよ」
「うん、わかったよ」
信彦は離婚届を出せないまま、果穂との険悪な話し合いを終えた。
自分の思い通りに物事が運ばない。
(自分にもプライドがあるように、妻にもプライドがある)
離婚をする事は容易な事ではない、と信彦は考えていた。
「あなたは自分の事しか考えていないのよ。妻の面子や、妻のプライドを考えた事はあるの」
「済まない」
「謝ればいいの。あなたは、現実から逃げているだけよ。確かに、60歳になってからの就職探しは、キツイと思うわ。でも、私、決して高望みはしないわよ」
「わかっているよ」
「もう一度、考え直してみて。私、勝彦や沙穂の考えも知りたいし。今度は子供たちを交えて4人で話し合いましょうよ」
「うん、わかったよ」
信彦は離婚届を出せないまま、果穂との険悪な話し合いを終えた。
自分の思い通りに物事が運ばない。
(自分にもプライドがあるように、妻にもプライドがある)
離婚をする事は容易な事ではない、と信彦は考えていた。