としサバ
 「キリマンって天然記念物に指定されそう」
 「な、何のこと?」


 「あなたはネット上には絶対に存在しない」
 「新種の生命体だわ」


 「えっ」


 「生真面目で冗談が通じなくって」
 「頭が鉄のように硬くて」
 「突然変異とも言えるその純朴さ」
 「でもそれが少し魅力的かな」


 「それって けなしているの褒めているの」


 「両方かな」
 「私今日みたいに会話出来たの」
 「生まれて初めて」


 「へえ」

 
 「今気付いたわ」
 「何が」


 「探せば会話出来る人もいるって事がね」
 「真正面からっ向き合ってくれそう」
 「本当の気持ち聞いてもらえるかも・・・」


 女狐の態度が、台風の目に入った気象のように気味悪い位穏やかになった。






< 7 / 285 >

この作品をシェア

pagetop