としサバ
 「今日は本当にここに来て良かったよ」

 「本当にそうよ。ありがとう」
 「私キリマンに何かお礼がしたいな」

 「お礼って」

 「キリマンが私を助けてくれたから」
 「一つだけ希望をかなえて上げる」
 「それが 私の心からのお礼よ」

 雫は助けてくれたお礼に、携帯の電話番号かメールアドレスか、キリマンの望むものひとつだけを教えて上げてもいいと思っていた。

 「本当に」
 「本当よ」

 「後でそれは駄目って言わない」
 「絶対に言わない」

 「じゃ 指きりしてくれる」
 「指きり いいよ」

 「メッキー 小指を出してくれる」
 「小指を出したよ」

 「僕の小指と絡めてくれる」
 「キリマンの小指と絡めたよ」

 「指きりげんまん 死んでも嘘付くな」
 「嘘付いたら針千本飲ます」
 「と言ってくれる」

 「指きりげんまん 死んでも嘘付くな」
 「嘘付いたら 針千本飲ます」

 「オーケー」
 「これでメッキーは嘘を付けないよ」

 「わかったよ」
 「それで 何を約束させたいの」

 「僕と一度だけ逢ってくれる」


 雫はキリマンが逢いたい、と言うとは思っていなかった。




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