としサバ
 信彦はこの混雑の中でメッキーを探すのは無理だと、半ば諦め掛けていた。

 それでも、2時を30分ほど過ぎる頃までは、辛抱強く探すつもりでいた。


 ジャガースファッションでない、普通の服装をした25歳前後の女性に的を絞って探す事にした。


 それらしき女性が、駅長室の前辺りに現れた。

 信彦は息を凝らして、その女性を見守った。


 「この女性がメッキーか」


 「きっと、そうだ!」
 「美人じゃないか」


 暫くすると、その女性は連れの男性に近付き、立ち去って行った。


 「なあんだ!男と待ち合わせか」


 「畜生!人違いか」


 「駄目か。もう駄目かもしれないな」


 信彦は大きく溜息を付いた。






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