Secret Prince[短篇]
「誤解招いちゃってごめんなさい。」
「い、いえ、私こそ…」
勝手に誤解したのは私のほうだし。
「でも、裕二ったら梨華ちゃんがいなくなった時、凄かったのよ?」
ちらっと裕二のほうを見ながら椿さんが笑う。
凄かった?
「それ、どういう意味…」
「梨華、帰る。」
聞こうとしたその時、またも裕二の声に遮られた。
もうっ!
スタスタと背中を見せて歩いて行ってしまう裕二を追い掛ける。
「あ、ありがとうございましたっ」
「こちらこそ。」
くすくす笑っている椿さんに頭を下げて、私は再び背中を追い掛ける。