Secret Prince[短篇]
やば…
倒れるかも…
そう思って足に力を入れてみるが逆に縺れ、体が前に傾く。
「お、い!梨華!」
驚く健の声。
……もう、駄目だ!
自分の体重を支えられなくて、一気に力が抜けた。
痛みに耐えるため、ぎゅっと目を閉じる。
「……だからさっさと帰れって。」
「え…」
痛いはずが、痛くない。
電話から聞こえる声がやけに近くに感じる。
3歩ほど前には胸をなでおろした健の顔。
じゃあ、私を支えてるのは誰?