Secret Prince[短篇]
「聞いてる?」
「ゆ、う?」
見上げた先には、電話から聞こえていた声の主。
……何でいるの?
支えられているだけだった私の体が抱きしめられる。
「熱、あんじゃん。」
私のおでこに手を当て、眉をしかめる。
「そ、そんなことより、何で……」
何で東京にいるはずの裕二がこんな所にいるの?
「そんなことじゃねー」
「いや、そうじゃなくて」
都合の良い、夢かな?
夢なら覚めないでほしい。今は裕二の温もりが、すごく嬉しいから。
「梨華、夢じゃないから」
「…何で」
「口に出てる。」
なっ!?
でも確かにここには裕二の温もりがあって、裕二に触れてる。
「…寂しかっただろ?」