Secret Prince[短篇]
当たり前かのように目を細めて笑う。
「寂しくないもん!」
「嘘つき。」
そう、嘘。
どうして裕二には分かっちゃうんだろう。
寂しかったよ
会いたかったよ
「俺は…死ぬかと思った。」
「死…?」
お前に会えなくて。
そう呟く裕二が凄く愛しくて、包む腕に力が入る。
「あの、お取り混み中悪いんすけど」
あ……
「健っ!」
目線を動かし、健に向ける。
そこには飽きれ顔の健が私の鞄を持って立っていた。
「あぁ。」
裕二もそれに気付き、私を解放する。
「梨華が元気無かったわけがやっと分かったよ」
健がどこか切なそうに微笑んだ。