Secret Prince[短篇]
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東京に戻る。
俺が帰るまで、風邪
治しとけ。
浮気すんなよ。
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「浮気なんてしないー…」
紙を見てにやける私。
ありがと、裕二。
その日から堪えることなく、鳴る携帯。
全部、裕二。
(学校どうだった?)
とか、たわいもないこと。
それでも私は嬉しくて、何回も泣きそうになった。
あの面倒くさがりの裕二が、毎日電話くれるなんて初めて。
(梨華、…好きだから)
電話越しに言われる言葉でも、私の心臓は煩いくらいにバクバクする。
「あたしも大好き。」
ねぇ、裕二も照れてる?
赤くなってる?
早く帰って来て、
私にその顔見せて。
「ゆう、月が綺麗だねー」
見上げた空はきっと東京にも繋がっているはず。
裕二、大好き。
end
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