Secret Prince[短篇]
待ち合わせ場所のカラオケの前にはすでに男の人たちが溜まって待っていた。
足が竦む。
体が拒否を起こす。
「梨華?大丈夫?」
「へ、平気。」
動かない足を無理やり動かし、その集団へ向う。
「こんにちわ。」
「あ!奈緒ちゃん!」
1人の男の人が気付き、振り返る。
反射的に一歩下がる私。
………やっぱり、嫌。
「奈緒!遅い!」
「ごめんって」
後ろの陰に隠れていた何人かの女の子も顔を出す。
「さ、入ろうぜ、お友達も。」
「…はい。」
奈緒の横から顔を出し私にニッコリ笑う、その人。
嫌な人ではないと思う。
でも、やっぱり……苦手。