Apasionado!2~俺様社長様の甘い誘惑~
帰り道
7月の後半だから暑いが、今夜は風がある。
「風が気持ちいいですね」
「だな」
「恭介さん」
「ん?」
「手…繋いで下さい」
「ん」
手を掴んで…絡ませる。
「ヘヘヘ…」
「ん?何が可笑しい?」
「幸せだなぁって」
「……」
コイツ…酔っ払ってっか?
「恭介さんは幸せですか?」
「……」
「恭介さん!恭介さんは幸せじゃないんですか?」
急に立ち止まる。
「お前なぁ」
「グスッ…グスッ…」
泣いてる。
はぁ~
こんな道の真ん中で泣かなくてもいいだろうに。
抱き寄せて
「俺も幸せだから」
「グスッ…ほ、ほんとに…しあ…わせ…ですか?グスッ…」
泣いてんのか、酔ってんのか…多分両方だな。
「フッ あぁ」
「ありがとうございます…グスッ…」
「もう泣き止め」
「は、はい」
グスグス鼻をすすりって…
マジに子どもにしか見えない。
「車に乗るか?」
タクシーを止めようとすると
「恭介さん…もう少し歩きたいです」
「大丈夫か?」
「はい、大丈夫ですって」
泣き止んだかと思ったら、俺の手を引っ張り歩き出した。