小さな豆子は霊能力者!? ―マイ・プレス―
...いい…ですか?
「あら、今回は
気が付くの早かったじゃない?」
奈緒ちゃんの声で我に気が付く
今いる場所は奈緒ちゃんの車の中
普通車で大きめサイズの9人乗り車
そして、
乗り心地のいいフカフカの座席
そこに敷いてある座布団が
私の体にフィットしていて、
居心地がよかった
「ん・・・奈緒ちゃん」
半ば半目で目を開けて、
奈緒ちゃんをミラー越しに見る
「おはよー、
あんたが倒れてまだ1日目よ」
そっか・・・
あの日、
みんなで倉子さんを追いやってから
1日たったんだ
・・・はは、すごいや
1人で任務したときは、
1週間は寝てたはずなのに
みんなが力を貸してくれたおかげで
たった1日で済んじゃったんだ
「今ね、病院に向かってるのよ」
「病院・・・?」
どうして、またそんな所に・・・
「あんた、
碌にご飯食べてないでしょ?
女の私にでも、
軽々しくお姫様抱っこ出来たわよ?」
それは・・・
「ま、無理もないか、
ずっと寝てばっかりだったもんね
しかも、本当に疲れてるみたいだし
あんた、どんだけ、霊力使ったわけ?」
奈緒ちゃんに、
ことごとく質問攻め
奈緒ちゃんは一度口を開いたら、
いっぱい喋りだす
これが、奈緒ちゃんの悪いところ
「んで、今日、病院に行くのは、
栄養剤を打ってもらうためよ」
「え、注射・・・?」
思わず、背筋が凍り、
体を起き上がらせた
「違うわよ、点滴、
第一、注射で栄養剤なんて
100回くらい刺さないと
全部入らないわよ!」
ど、どっちもヤダよおおお!
「ねぇ、奈緒ちゃん、
私・・・元気だよお!!
だから点滴なんて」
「嘘おっしゃい!」
車が調子よく、
赤信号で停車したのちに
奈緒ちゃんが
クルッと私のほうに顔を向け、
睨みつける
ひえ!恐ろしい!
点滴より、奈緒ちゃんの顔が・・・!!
「いいから、
おとなしくしてなさいよね、
あんたはいちいち、
ピーチクパーチクうるさいんだから!」
「ほーい・・・」
とりあえず、
奈緒ちゃんが怒らないように
私はもう一度、体を横にした
はぁ・・・ため息も吐きたくなるよ
赤信号で止まっていた車が動き出し
そして、また止まった