小さな豆子は霊能力者!? ―マイ・プレス―
「じゃ、私達も行きましょうか」
「うん」
そして、この男
「はあー、ねみー」
私の隣であくびをしながら、
立ち上がるデカ男
「あーあ、起きちゃったか」
「何だよ鈴可ー」
「何だよはコッチよ、はい、
この資料、奈緒さんに渡しておいて頂戴」
「へーい」
鈴可ちゃんが大ちゃんに渡した資料は、
警察関連の情報紙だ
大ちゃんのお姉さんの奈緒ちゃんを通じ、
大ちゃんと奈緒ちゃんのお父さんでもある
警察の管理官、件、お偉いさんに渡すのだった
「じゃ、私達も帰ろうか」
「うん」
「ほら、大地も行くわよー?」
「へいへーい」
そして私達は立ち上がり、教室を出た
長い廊下を渡って、生徒玄関へ行き
校門をふと見ると人影を発見した
その人影は私達の姿を見るなり、
手を大きく振った
「鈴ちゃあん!あずっきー!大地ー!」
色葉ちゃんだった
「もーやーっと来たあ、
待ってたんだからねー?」
「えー先帰ってもよかったに・・・
って2人も待っててくたの?」
「ったりまえだよ、
お前ら残して先帰るかよ、おい?」
「・・・何そのイケメンそうな発言」
「は!?何言うんだよ!?俺はイケメンだぜ?」
「自分で言うなああー!」
結城くんと色葉ちゃんは
いつものように口喧嘩をしている
その光景が面白くて口角が自然と釣り上がった
「・・・ほーんと、
小豆、最近よく笑うようになったねー」
「へっ!?」
鈴可ちゃんが私を見て、そう言った
「あー確かに、小豆ちゃん、今の今まで、
いっつもビビッた顔してたもんなー」
結城くんも私の顔をガン見しながら言った
「そ、そんな事ないよっ」
「いいんじゃないか、
最近騒ぎもないから学校来れてるし、
チビ豆も少しは俺達外部の人間にも慣れたって事だろ」
ほんと・・・千歳くんも言うとおりだな
CRSの皆とは大分仲良くなれた
一緒にいてくれる時間が一番多いからか、
素直に話せるようになった
でも・・・
「ま、次はクラスの奴だなー、頑張れよ、チビっ子豆太ー」
「なっ・・・」
相変わらずだが、大ちゃんは一言多い
でもその通り
次はクラスの友達と馴染まなくちゃ・・・
今はまだ空気だ
「でもさー、あずっきー、
ちっちゃい頃からお化けとか幽霊とか
見えてたわけでしょ?」
「うん、まぁ・・・」
そりゃ霊能力者だから、もち霊感あるし・・・
今この瞬間の周りにだって
幽霊さんはいらっしゃるわけだし・・・
「あずっきーは幽霊怖くないのー?」
「そりゃ・・・」
怖いに決まってんじゃん!!
でも・・・
「こ、怖くなんか」
「ちょー怖いって」
「え゛っ!?」
「なーんだ怖いんだー、
じゃあ、あずっきーは生きてるものも
死んだものも怖いんだねー」
「どっちつかずだな」
「情けない、霊能力者のくせに」
「コラ、ちょっと皆っ」
・・・あぁ、皆にボロクソ言われちゃった
その前にアンタだよ、オイ!
私は隣で歩いているデカ男に睨みを利かせた
サイコメトリーで私の心を透視して
勝手に通訳しやがって!!
と、そんな事を心で言っていても、
また透視してくる奴
「お前さ、マジいじっぱりすぎ」
「そ、そんな事」
「ツンデレー」
「ふにゃっ!?」
大ちゃんは私のホッペを
プ二ッと掴みグイーと横にひっぱった
「ひたひーい」
痛いーと叫ぶ私の声は届かず
「っとそろそろ6時よ、駅向かいましょうか」
鈴可ちゃんがケータイの画面を見てそう言った
あー、そういえばここにいるメンバーは
皆電車通学だったんだ
ちなみに私の家、件、警察署は5駅向こう
車だと実に30分前後
でも渋滞で車の量が半端じゃないので
込んでいると1時間30分もかかってしまう、面倒な町
はぁーとため息をつき、
カバンの中から電車の定期を出そうとした
が、定期がいくら探しても出てこない
立ち止まってカバンの中に
顔を突っ込んでみたものの
全く見つからなかった
「おい、どうしたんだ?」
大ちゃんが駅の改札口で私を振り返った
「あ・・・ううん、何でもないよ」
私は顔を横に振ってみせた
「あ、先に帰ってても大丈夫だよ」
「は?何でだよ?」
・・・しつこい
「な、何でもないよ」
「じゃあ来いよ」
「・・・っとだから・・・
その・・・忘れ物!!じゃあね!!」
しどろもどって、挙句全力疾走!!
あーもーなんで私、
素直に気持ち言えないのよ!!
定期、学校に忘れた・・・
かもって言えばそれで済んだのに
なんでこんな恥らってんだろ・・・
自分で自分が意味わからなかった
走り去る途中で後ろかえら
「おい!待て!チビ豆太あああ!!」
と、大きな声で叫ばれたのは言うまでもない