オレらは青春爆走中【完】


――…


三田村Side



それは、1週間くらい前の出来事だった。



珍しく隼人から遊びの誘いが来たんだ。



隼人から誘ってくるなんて!!



と、内心感激を隠せないオレは、軽い足取りで隼人との待ち合わせ場所まで向かう。



さらに、待ち合わせの場所には、既に隼人の姿があった。



いつもは、1時間は、遅くくるのにな〜。



「隼人〜!珍しいな〜お前から誘ってくるなんて」



機嫌がいいオレは、にこにこと笑いながら隼人に話しかけた。




『あぁ…まぁな…たまにはいいかな〜って』



隼人は、オレを見て、笑いながらそう言った。



!!!!



は、隼人が…あの隼人がオレに笑いかけてる…。



あまりの驚きに目を丸くするオレに対し、




『…今日はさ、遊びいく前にちょっと付き合ってほしいとこあんだけど…いい?』



!!!!!




は、隼人が…オレに頼みごとするなんて…今日は、雪が降るかも…。




「あ、あぁ、もちろん!いいけど…どこ行くんだ…??」



そんなオレの質問に隼人は、一瞬寂しそうな表情を見せた。



「…隼人?」




『…あ、実はさ、今日、オレの母さんの命日でさ、墓参り付き合ってほしいんだ』




さっきまでの寂しそうな表情からは考えられないほどの明るい表情で隼人は答えた。




「……そっか、もちろんだぜ!!オレも隼人の母ちゃんに挨拶しとかなきゃだしな!!」



ニカッと笑いながらオレは言った。




『…ありがとな、三田村。』



そう言った後、隼人は、スタスタと駅に向かって歩きはじめる。



いろいろ聞きたいことはあったが、隼人のあの表情を思い出すと何も聞けない自分がいた。



…情けないな…オレ。



オレは、軽くため息をついた後、足早に隼人の背中を追いかけていた。



――…




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