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 「男子、どうだったの?」

 「ベスト4だった。
  個人で勝たないと関東行けないん
  だよー。」

…家に帰って、こんな他愛もない会話を出来る相手が今、歩斗にはいない。

 「…ねぇ、ママ。」

 「ん?」

あたしはこの言葉を口にするのを一瞬ためらった。

でも…。

 「歩斗、また家に呼んでもいいよね?」

ママがあたしを見て不思議そうな顔をした。

 「当たり前でしょ!
  歩斗、家に住んじゃえばいいのに!」

 「そうだよね。」

正直、安心してる。

ママがいつも通りの言葉を口にしてることとか、ご飯が美味しいこととか。

何を考えても歩斗のことが浮かんでくる。

あたし、こんだけ歩斗のこと好きなんだ…。

でも…明日は個人戦がある。
負ければ日花梨先輩は引退だ。


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