enjoying!
鼓動
コートに入った瞬間から試合はもう始まっている。
試合が終わるのは自分が諦めたとき。
諦めたらそこで試合終了ってやつ。
あながち間違ってはいないし、少なくともあたしは共感できる。
「ゲームカウント2-3!!」
あたし達は今のところリードを保っている。
でも、相手もまだ諦めていない。
このまま追いつかれればファイナルに突入して、持久戦になる。
「ガンバ!取れます!!」
サーブがコートに入ってくる。
ボールが上手い具合に日花梨先輩のバック側に入った。
「はーい!」
日花梨先輩がA地点への深いロブを送る。
先輩はとりあえずはロブで振り回してくって言ってた。
相手の後衛はシュートの精度が高い。
だから、そのシュートをあたしが仕留めなきゃ…。
まだラリーが続いている。
相手後衛が手にぐっと力を込めるのが見えた。