You
「久し振り、美晴ちゃん。
昴(スバル)だよ。覚えてる?」


淡く茶色味がかったセミロングの髪をゆらゆら揺らして、彼女は首を振る。
無理もない。前に会ったのは美晴が小学校に入る前だった。

私の父と伯父の仲が悪いから、滅多に会えないのだ。
全くあのクソ親父どうしてくれよう。こんなに可愛らしい姪を愛でに来ないなんてどうかしている。


しばらくじっとしていると、彼女が小さく声を出した。


「…えと、すばる、さん?
こんにちは」


そう言うなりぱっと伯母の後ろに隠れる。
恥ずかしかったのか彼女は耳を赤くして私を盗み見ていた。

頭をわしゃわしゃと撫でたいのを堪えてもう一度笑うだけに留めるのは大変だった。


「『さん』なんて付けなくていいよ。呼び捨てでいいから。」


目線を合わせてそう言えば彼女はコクリと頷く。
人見知りは人見知りでもひどくなったような気もした。


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