続・俺様王子の初恋
よく聞こえなかった。
いや、”聞きたくなかった”。
もうすぐ9月。
それでもまだ日は射していて
そいつの影を、踏みつけた。
「 ご機嫌ななめですね? 」
「 まぁ、な 」
相変わらずのうざい笑顔。
俺が踏んだ影を見て
更に笑うそいつは
腕を伸ばし、俺の胸倉を
かるく掴んだ。
「 ねぇ、先輩? 」
「 ・・・離せ 」
「 俺、朝見てたんですよ 」
身長は変わらない。
突き飛ばすこともできる、けど
──────────苛々しすぎて、殴りそうだ。