続・俺様王子の初恋
『 ん、・・・泰雅? 』
「 悪い。寝てたか? 」
眠そうな葵の声に
”悪い”と言いながらも
口元が緩んでいた。
再度足を動かし、もう目の前の
マンションへと向かう。
『 今、帰ってきたんですか? 』
「 あぁ、さっき電車降りた 」
『 ・・・お疲れ様です 』
部屋の鍵を開ける音が聞こえたのか
”お帰りなさい”と、居るはずのない
葵が耳元でそう言った。
緩む口元を押えて”ただいま”と
葵に返すと、葵は小さく笑って
『 ・・・新婚さんみたいですね 』
前の、俺と同じことを言っていた。