青薔薇に愛を込めて
名前を呼ばれたサジェルバさんは、ちらりとリツィリアさんを窺って、深く息を吐いた。
「分かった分かった。年寄りは退散しろと言いたいのだろう?」
「ああ、そうだよ。話が早くて助かるね」
リツィリアさんはしれっと言い放って、ローニャくん?ローニャちゃん?…分からないけど、その子に優しく微笑みかけて手招きをする。
なんだかサジェルバさんに対する態度だけ冷たい気がする。
嫌い嫌いも好きの内、と言うけど、そんな感じなのかな。
…まあ、私には関係ないけど。
「ではハルカ殿。また近い内にお会いしましょう。
それからリツ坊、お嫁さんに逃げられないよう頑張るのだぞ」
「……はいはい」
手を上げてにこやかに立ち去るサジェルバさんに、ぺこっと頭を下げる。
ちょうどその時に「余計な世話だよ」と耳元で小さく聞こえた。
「……では行こうか。ローニャ、おいで」