青薔薇に愛を込めて
「ぬしは災いそのもの。早くこの国から立ち去るのだ」
高圧的な言葉を無表情で告げるローニャくん。
さっきまでの幼い様子はどこかに消え、怖いぐらいに大人びている。
口調も古めかしく、饒舌だ。
まるで別人。
そんなローニャくんの言葉に、その場にいた誰もが驚き、固まった。
―――…‥
サジェルバさんと別れた後、私たちが向かったのは神殿という場所だった。
城とは連絡通路があるらしい。階段を利用する必要もないまま、目的の場所にはすぐに到達した。
内装は城とさほど変わっていない。
ただ、城には至るところにあった装飾は少なめで、全体的にシンプルだ。
キョロキョロと辺りを見回していたら、リツィリアさんが横からこの神殿について説明してくれた。
「ここはサザン神殿。今でこそここまで立派になったけれど、もとは小さい社でね。巡察中だったカーシム代神官が埋もれていたのを発見して神殿を建ててくれたんだ」
小さい社がここまで立派になるんだ。カーシム代神官様太っ腹。
でも正直、神殿とか遺跡ぐらいでしかしらないからカーシム代神官様の偉大さがよく分からない…
私はリツィリアさんを見上げて尋ねた。
「えーと、代神官って何なんですか?」