青薔薇に愛を込めて
リツィリアさんの話はとても分かりやすく私でも理解することができた。
あまり歴史は得意じゃないけれど、こうやって分かりやすく説明してもらうと、意外と面白い。
でも私は、その話を聞きながら心が底無し沼に沈んでいくような思いだった。
だって、
「本当に、ここは異世界…」
ぽつり、落とした呟きは誰にも聞こえなかったようだ。
私はリツィリアさんから視線を外して窓の向こうを見つめた。
青い空は私の世界と同じに見えるのに。
でも、少し視線を落とせば、見えるのは庭園に咲き誇る見事な青薔薇。
ああ、やっぱり違う…
否応なしに再び突き付けられた事実。
ここは、柚子もいなければおじいちゃんもいない世界。
私は独り。