青薔薇に愛を込めて
大きすぎる負の感情では、涙は流れないらしい。
どうしようもない今の状況に、悲しみも怒りも絶望も感じているのに、心の奥はしんと冷えきっていて、どこか傍観しているかのような心地だ。
もしかして、私が薄情なのかな。
ううん、違う…違うよ。たぶん、私の心がキャパオーバーして、麻痺してしまったんだ。
私は唇をぎゅっと噛んだ。
でも、こっちの世界に来れたということは私の世界へ行ける道があるはず。
絶対、あるはずだ。
そうでないと、こんな状況でなんて、やってられないよ。
「さあ、着いた」
リツィリアさんが言った。
私は噛んでいた唇をゆっくりと離して、顔をあげた。