青薔薇に愛を込めて
誰よ!こんな質の悪いいたずら!
「ちょっと、ホントに怖いからやめて!」
怒りを隠して懇願しても、扉の向こうの人物は無言。
「お願い、開けてよ!助けて柚子!柚子っ!」
柚子に助けを求めるけど、この場にいない人に求めても無意味で。
ぎぎ、ぎ…
ついに閉じてしまった。
私は泣きそうになりながら、とにかく扉を引っぱった。
月明かりすらも入らない部屋の暗闇は把手を掴む自分の手ですら見ることができないほど。
幽霊とか信じている方ではないけど、えもいわれぬ恐怖が私を襲う。
「開けて!…きゃっ」
がちゃがちゃと一心不乱に把手を捻り続けていたせいで、ごとりと嫌な音がした。
おそるおそる手に握っている物を触って確かめてみると、予想通りそれはとれてしまった把手だった。
「うそ…」